ニューオリンズブラスバンドって知ってますか?
私がニューオリンズの音楽に出会った入り口だったのが、このニューオリンズブラスバンドです。
日本で「ブラスバンド」っていうと、中高生の部活で大人気の「吹奏楽」を思い浮かべるのではないでしょうか?
でも、ニューオリンズブラスバンドはちょっと、いや、かなり違うとおもいますよ。
私は最初に見たときに衝撃的でかっこよくて、ビリビリビリ!!ときちゃいました。
ぜひ、観て聴いて体験してほしいと思います!
ニューオリンズブラスバンドとは?
じゃ、そのニューオリンズブラスバンドってどんなの?というと、パッと見てけっこうすぐに「お?!ニューオリンズブラスバンドか!?」となるんですよ。
まず、遠くからでもわかる大きなベルのスーザ( sousaphone )です。
バンドの中でベースパートを担当します。
そしてリズムセクションは、スネアドラムとベースドラムを二人で担当します。
フロントは、トランペット、トロンボーン、サックスで、それぞれ何人いるかは各バンドそれぞれです。
大体全体で7、8人くらいって感じが、ベーシックな形かなとおもいます。
ただ、あくまでもベーシックな形なので、これに限るわけじゃないです。
エレキベースだったり、ドラムセットだったりもあります。
クラリネットやバンジョー、ギター、鍵盤などなど、いろんな楽器が入ることもあります。
ベーシックな編成を見てみると、使われている楽器が、マーチングバンドにある楽器で構成されているんですが、それはこのニューオリンズブラスバンドの始まりと、役割につながると思います。
ニューオリンズには、黒人奴隷の歴史があります。
奴隷たちはつらい日々の中、週に一日だけ許された休日に集い、歌い、踊っていたそうです。
南北戦争後、撤退する軍隊の音楽隊が置いて行った楽器を、奴隷を解放された黒人たちが手にし、見よう見まねで楽器を演奏するようになったとか。
そうしてアフリカのリズムや黒人霊歌などが混ざりあい、ジャズのもとになったともいわれている、ニューオリンズブラスバンドが誕生したんだとか。
今でもずっと、ニューオリンズの街では、音楽と生活がすごく密着しています。
代表的なところでは、お葬式。
お葬式では、御棺を墓地まで運ぶときに、それを先導するのは、ニューオリンズブラスバンドです。
バンドが演奏する後ろを御棺も家族も友達も、故人を見送るために街中の人がそのあとに続き歩きます。
それ以外でも、結婚式、卒業式、オープニングセレモニーなどなど、街の節目節目にはニューオリンズブラスバンドが演奏します。
ニューオリンズブラスバンドは、街の人たちの生活に密着していて、喜怒哀楽、様々な感情を街の人たちみんなでシェアしてるんだなぁって思います。
節目の大きい小さい関係なく、どこででも演奏できるのは、この編成のおかげもあるんですね。
バンドには、電源は必要ないんです。
そして、歩き回れる!パレードできる!
これが何といってもニューオリンズブラスバンドの真骨頂!
ニューオリンズブラスバンドと街の人たちとがパレードするのを「セカンドライン」と言います。
ニューオリンズブラスバンドの話をするには、欠かせないのがこのセカンドラインです。
私も大好きなセカンドラインについては、また別途詳しく紹介したいと思います。
ニューオリンズブラスバンドを楽しむなら、ぜひ、セカンドラインを体験してみてほしいです。
めっちゃいっぱいいる!ニューオリンズブラスバンド!
ニューオリンズにはずっと続く老舗のブラスバンドから、若い新しいブラスバンドまでものすごいたくさんあります。
ブラスバンドの中にもいろいろあるので、それぞれ私が思いつくものを紹介します!
超大御所!とりあえずこれは!っていうブラスバンド
Dirty Dozen Brass Band ダーティーダズンブラスバンド
超大御所のニューオリンズブラスバンド代表格のバンド。
日本にも何度もツアーで訪れていたり、フジロックに出演したこともあります。
現在は、リズムがセパレートではなくドラムセットになっています。さらにギターをメンバーに加えて独自のサウンドとライブパフォーマンスを今もなお世界中で繰り広げているレジェンドブラスバンド。
2020年3月の時点で、オリジナルメンバーの平均年齢は、たぶん60歳超えてる・・・いや、70越してるのかもな・・・
現在は、トロンボーン、ドラム、ギターが若手メンバーだけど、若手っていうほど若くないはず(笑)
ちなみに、ギターは日本人のTakeshi Shimmuraさん。
こんな老舗バンドに日本人のメンバーがいるなんて誇らしいです!
彼らは一年のほとんどをツアーで過ごしているので、ニューオリンズでライブを見るのは難しいかもしれませんが、フェスシーズンなどには街に帰ってきていますので、そこが狙い目かも!
Rebirth Brass Band リバースブラスバンド
Dirty Dozen Brass Bandに続いて名前があがるのがこのバンドでしょう。
もしかしたら、こっちが先に出てくる人もいるかもですね。
Rebirth Brass Bandは、グラミー賞を受賞して世界的に超有名になりました!
ニューオリンズブラスバンドとして初めてのグラミー賞受賞だったそうで、街中の誇りです!
そんなRebirth Brass Bandも何度か日本にツアーに来ています。
初めての来日(だったはず)の1998年の神戸チキンジョージでのライブは、私の人生の中でも5本の指に入る忘れられないライブです。
彼らのライブを見るには、 毎週火曜日にMayple leaf Bar に決まりです。
彼らのホームグラウンドともいえるMayple leaf Bar で行われてるライブは、いつ行ってもパンパンの超人気ものです。
Treme Brass Band トレメブラスバンド
ダーティーダズンやリバースは、ブラスバンドの中でも、ファンク系、イケイケゴーゴー系っていう感じですが、トレメブラスバンドはトラディショナル系かな。みんなで和やか楽しむ系って感じでしょうか。
そうはいっても、やっぱりダンスミュージックなんで、結局踊らされちゃうんですけどね。
ニューオリンズのトラディショナルナンバーを中心に、メンバー同士が会話をするような、素敵なライブを見せてくれます。
テンポが速いわけでもなく、音数が多いわけでもないのに、どんどんと胸が高鳴るような演奏は何度聞いても癖になります。
地域密着型老舗ブラスバンド、トレメブラスバンドを見るには、毎週火曜日のd.b.a.か、毎週水曜日にCandlelight Loungeへ行くと見れますよ。
ちなみにトレメブラスバンドは、私の知る限りかなりメンバーが超流動的。
トレメブラスバンドのメンバーとして名前が挙がる人が全員集まったらかなり大人数になるけど、実際のステージにはその中から6、7人くらいです。
だれか一人を目当てにしていくと、えぇ!いないの?なんてことが多々あります。
(私は、もう何回も何回も・・・です)
今日はだれがいるのかなー?なんて楽しみに見に行くのがいいと思います。
これもおさえておきたい!毎週みれる実力派ブラスバンド
Hot8 Brass Band ホットエイトブラスバンド
リバースに続くようにでてきたホットエイトは、街でのセカンドラインもツアーも精力的に活動するブラスバンドです。
ホットエイトブラスバンドを見るなら、毎週日曜日、The Howlin’ Wolf The DENで見ることができます。
Soul Rebels Brass Band ソウルレーベルスブラスバンド
(最近では、The Soul Rebels と名乗っていて、Brass Band っていう表記がなくなっていたりします。)
人気のMCやシンガー、バンドとのコラボなど、いろんなところで活躍中のソウルレベル。
彼らを見るなら、毎週木曜日、 Le Bon Temps Roulé で見ることができます。
Pinetts Brass Band ピネッツブラスバンド
ニューオリンズブラスバンドで唯一のガールズバンド。
バンド結成から年数を重ね、実力派ブラスバンドに成長!男子顔負けのパワフルアゲアゲライブを見せてくれます。
彼女たちのライブは、毎週金曜日、 Bullets Sport Bar にて見ることができます。
まだまだいる!激アツニューオリンズブラスバンド!
ここまで紹介したバンドは、ダーティーダズン以外は、毎週決まった曜日に決まった場所でライブをやっているバンドでした。
でも、そういうレギュラーライブがなかったり、私がライブ知らなかったりしているバンドでも、現在進行形でコンスタンスに活動していて、セカンドラインでも見ることができたりするバンドを紹介します。
New Birth Brass Band ニューバースブラスバンド
リバースと同世代くらいのニューバースは、老舗ブラスバンド。
定期的なライブはやってないとおもうけど、いつ見てもかっこいいんです。2019年ジャズフェスでは、私の中でベストアクトでした。超かっこよかった・・・
このニューバースには、私も大好きなトランぺッターMicthさんがニューオリンズ在住時に在籍していました。
こんなかっこいいバンドのフロントにいたなんて、さすがっす!
Big 6 Brass Band ビッグシックスブラスバンド
ここ数年バリバリにパワーアップしていっているビッグシックス。
ニューオリンズブラスバンドの、中心地で育った第5世代あたりの彼らには今後も大注目!
Stooges Brass Band ストゥージ―ズブラスバンド
彼らもめちゃくちゃかっこいいライブを見せてくれます。って、どのブラスバンドもめちゃくちゃかっこいいんだけどね。
最初から、ギターや鍵盤が入ったりしていましたが、最近は、もっと編成をいろいろ変えて活動したりもしているみたいです。
To Be Continued Brass Band ティービーシーブラスバンド
こちらもライブ激アツブラスバンドですね。
彼らは毎週やってたライブがあったんですが、それが変わったような?で、現在未確認です。
New Breed Brass Band ニューブリードブラスバンド
彼らは、まだ若手の部類に入るのかな。
トロンボーンショーティーとツアーに出たりで、経験も実力もどんどんパワーアップ!
Da Truth Brass Band ダトゥルースブラスバンド
こちらもパワフルなバンド。
彼らも毎週やってるっぽいですが、これまたかなりローカルそうで私は未確認です。
残念ながらライブは見れないかもだけど、CDあります!
Lil’ Rascals Brass Band
現在は活動してないようですが、ここまでに紹介したブラスバンドのメンバーの中から集まってできていた激アツブラスバンド。
CDは1枚しかリリースされてないけど、めちゃんこかっこいいです。
まだまだ!トラディショナル系ブラスバンド
最初の大御所で紹介したTreme Brass Band 以外は、ここまで名前が挙がっているブラスバンドはみんな、Dirty Dozen Brass Band以降にできた、ファンクの要素を取り入れたバンドです。
私は、そっち系が大好きなのでそっち系ばかり紹介しましたが、トラディショナル系のブラスバンドもたくさんいます。
古き良きニューオリンズトラディショナルを、今も活き活きと聴かせて踊らせてくれるバンドがたくさんあります。
ですが、定期的に活動しているバンドは少なくて、街のイベントごと(お葬式や結婚式などなど)やフェスなどでみることができます。
どうしても聞きたいぞ、という方は、Treme Brass Band か、ニューオリンズの観光名所にもなっている「 Preservation Hall 」には、 Preservation Brass が出演しているので、スケジュールをチェックしてみてください。
こうやって紹介すると、別ものみたいですが、それぞれのバンドのカラーがあって、それぞれで活動しているのですが、バンドでメンバーが重複していたり、代わったり、なんてこともたくさんあって、ファンク系やってる人もトラディショナルいけるし、トラディショナルやってる人もファンクいけちゃうんです。
うまく書けませんが、ニューオリンズ音楽の素敵なところって、そういうところだなって思います。もちろん、ほかにもまだまだたくさん素敵なところがあるんですけどね。
私も中学と高校では、吹奏楽部に所属して、10代の青春を吹奏楽にささげたタイプです。
人それぞれ好みはあると思いますが、私個人的には、この音楽をもっと早く知りたかった!と思っています。
生で見るのが一番ですが、行くのはなかなか難しいと思うので、映像や音源ですこしでも体験してみてください。
新しいニューオリンズ好き仲間が増えるといいな。
最近のコメント